ブルガリアヨーグルト
ヨーグルト祭り

ヨーグルトと美、健康関係を追求していくと、ブルガリアという国とヨーグルトの関係がどれほど深いか見えてくる。しかしながら、やはり、日本と同じようにブルガリアでもファストフードなどが普及し、一部ではヨーグルト離れも見られるそうだ。そこで開催されたのが、2010年で9回目を迎える「ヨーグルト祭り」。テーマは、「ブルガリアの伝統を守り」、学び、次世代に伝えること―。が、取材班がそこで見たものは、ステージに次々と現れてくねくねと踊る絶世の美女たち!ヨーグルト祭りのメーンイベントは”ヨーグルトの女王”を決めるコンテストで、ブルガリアのみならずトルコやロシアからもエントリーがある国際的な大会だ。各国の民族衣装に身を包み、自国とブルガリア、それぞれの民族舞踊を踊る姿は圧巻だった。そして、今年度の女王に選ばれたのは、ダンスのキレが最古だった、ブルガリア人のシルビアさん。将来はプロのダンサーになりたいといる17歳だ。現地報道陣に交じり、思い切って声をかける。「ヨーグルトは食べますか?」すると「もちろん!家で作るのをそのまま食べるのが好きです。パックもします。」と答えてくれたではないか。やはり”ヨーグルトの女王”も日々食べ、肌に吸わせるヨーグルト。17歳の女王から100歳のおばあちゃんまで、ヨーグルトは確実に美女を作るのだった。「ヴォーチェ・2011年2月号のレポートから」、

ヨーグルト祭り
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ヨーグルト祭り
発酵乳の歴史は古く、おそらく人間が草食動物を飼い馴らし、その乳を食用とし始めた時にまでさかのぼるとされています。牛は紀元前8000年頃に東地中海地方で、羊や山羊はさらに早く紀元前1万年頃にメソポタミア地方で家畜化されたといいますから、もうこの頃には発酵乳があったと考えられます。乳を搾って容器の中に入れて置くと、動物の乳首や容器などに付着していた乳酸菌が乳中で増殖し、その乳酸菌が乳糖を分解して乳酸などの有機酸がつくられます。それだけでなく、有機酸によって乳の腐敗を防止されて独特の風味がつきます。酵母が混入すれば、アルコール発酵して乳酒となります。これが発酵乳の原点で、最初は偶然にできあがったものをやがて保存と風味つけのために意識的に作るようになったのでしょう。

発酵乳に関する記録は各地に残されています。
世界最古のメソポタミア文明を生み出したシュメール人が紀元前3000年頃に刻んだとされる石版には牛乳搾りからバターを作るまでの様子が描かれています。メソポタミアで生まれた乳の保存、発酵技術が文明の伝播とともに世界各地へ伝えられ、その土地の風土に適したいろいろな発酵乳が生まれたと思われます。紀元4世紀にはロシアで馬乳を発酵させたクーミスという乳酒がすでに飲まれていたことが知られており、トルコのヨーグルトやアイラン、インドのダヒ、ハンガリーのタルホなどの発酵乳が8世紀頃までにはそれぞれの土地に定着していたとされています。
旧約聖書にはアブラハムが3人の天使を発酵乳でもてなしたという記述や疲れ果てた旅人をヨーグルトでもてなしたという記述、モーゼが発酵乳はエホバの神から授かった最高の食品であるといったという記述などがあります。
また、イスラム教の祖マホメットが発酵乳を乾燥させた固形の発酵種を病気の予防や治療に用いたという記録も残されています。
 
これは肉食を戒めた仏教でも同じことで、お釈迦様が死の直前に説いたとされれ「大般涅槃教」には「牛より乳を取り、乳より酪をだし、酪より生蘇をだし、生蘇より熱蘇をだし、熱蘇より醍醐を出す、醍醐は最上のものである」という記述があります。これから最高の味のことを醍醐味というようになったとされており、蘇はバターのようなもの、醍醐が発酵乳だったと考えられています。
古代中国でも「酪」という食品の製法が記録されており、この酪はヨーグルトの原型的な食品だとされています。
日本では、飛鳥時代の「大宝律命」に宮中に牛乳を供出するよう農民に命じた文書があり、また平安初期の記録には乳製品利用の開始を示す記述がみられることから、すでにこの時代には蘇が製造されていたと考えられています。その後、わが国では乳加工はそれほど見られず、江戸時代後半には牛乳を濃縮した「白牛酪」などのあったことが伝えられていますが、諸外国ほど乳製品の利用は広がりませんでした。
そして、本格的な発酵乳の製造が開始されるのは第二次大戦後まで待たなければなりませんでした。
ヨーロッパに東方から発酵乳が伝わったのは9〜10世紀のこととされていますが一般への普及はかなり遅かったようです。1542年には、フランス国王フランソワ1世がうつ病と神経衰弱に悩み、コンスタンティノープルからヨーグルトの作れる医師を呼び寄せたという記録が残っています。この時、医師はヨーグルトそのものではなく、生きた羊をパリまで連れて行き、その羊乳でヨーグルトを作ったそうです。ヨーグルトを食べ始めた国王は数週間ですっかり回復しましたが、逆に、長旅をしてきた羊たちは疲れのためか1頭残らず死んでしまいました。そして、、ヨーグルトの製造法を教えて欲しいという王の申し出を断わり、医師もコンスタンティノープルに帰ってしまったため、ヨーグルトはフランスの人々に忘れ去られたのです。実際、その後のヨーグルトについての記録は途絶えており、ヨーロッパではむしろチーズ作りのほうが盛んだったようです。
ブルガリアヨーグルトの起源についての正確は歴史データはありませんが、数々の調査や研究によると、ブルガリア最古の民族である、古代トラキア人がすでにヨーグルトを作っていたことは確かなようです。古代ギリシャの歴史家へロドトス(前5世紀)はヨーグルトがトラキア人によってもたらされたと記した最初の人物としても知られています。また、古代ローマの詩人ウェルギリウスは「彼らはヨーグルトに馬の血を混ぜて飲んでいる」としています。これはトラキア人のBizaltsについて述べられているもので、彼は、現在のブルガリア東部、シューメン、ラズグラッド、ヴァルナー帯のドブルージャ地方に住んでいました。
また、ブルガリアのGavrail Katzarovの研究「古代トラキア人の生活水準」(1912年)、Irechekの「ブルガリア人の歴史」、Zlatarski, Nikov「ブルガリア史誌」などによると、「トラキア人は農業、牧畜に長けており、大群の羊を飼育していた。彼らの土地は”肥沃な土地”という歌の中でも讃えられているように豊富な作物に恵まれ、牛や羊を大量に繁殖させることが可能だった」とされています。
考古学の研究からは、紀元前7000年頃のヨーロッパ南東部の地層から発掘された骨の約80%が山羊や羊の骨であり、同時に乳を入れておく容器もあったことがわかっています。新石器時代には一般に石製の食器が使われていましたが、ブルガリアやヨーロッパでの考古学調査によるとすでに土器も使われており、特に発酵乳やチーズを入れておくものであったことが明らかになっています。1930年にJavashovがブルガリア北東部のラズグラッドにある先史時代のHisarlashkaの丘を発掘したところ、原始人がチーズを漉すのに使っていたと思われる円錐形の壷が出土しています。チーズは製法的に発酵乳より難しいことから、この当時すでに発酵乳があったことは確かでしょう。
このようなことからイタリアのBotazzi教授は「ヨーグルト(発酵乳)はブルガリアが発祥の地である」と述べており、デンマークのSoerensen教授も「ヨーグルトは昔から世界各地で作られていたが、ブルガリアがその発祥の地であることは間違いないだろう」と語っています。
「乳酸菌ニュース」(平成14年10月15日発行)より
[ヨーグルトというとブルガリアが本場というイメージですが、どのような食べ方をされているのですか?]
  世界中でのヨーグルトの食べ方は、大きく分けると3つあります。ひとつは市販のヨーグルトを買ってきてそのまま生で食べる方法。もうひとつは、市販のヨーグルトを自分の家やレストラン等で料理などに使ったりする食べ方。3つめは、自分の家で牛乳からヨーグルトを作って食べる方法です。
私自身としては、ヨーグルトは健康食品として生で食べるべきだと思います。これは日本での食べ方に近いですね。1908年にノーベル医学生理学賞を受賞したメチニコフ博士は、乳酸菌は身体に生きた状態で入らなければ働かないと言っていますが、私もそうだと思います。確かに、ブルガリアではヨーグルトを料理にもよく使います。火にかけると美味しくなりますが菌は死んでしまいます。食材としてヨーグルトを使うのはいいのですが、これは健康食品とはいえないと思います。
[健康食品としてのとらえ方は、日本もブルガリアのおなじですか? ]
  ブルガリア人はヨーグルトを“いちばん弱い薬”だととらえています。どの病院に行っても、たいていは1日3回、1回につき250ccのヨーグルトをそのまま生で食べるように言われます。ヨーグルトには免疫力を高める力はあること、天然のアンチバイオティック(抗菌物質)であることを、誰でも知っています。
ブルガリア人は、年をとって歯や消化機能が悪くなってくるとヨーグルトばかり食べます。ヨーグルトはミルクから作られていますが、ミルクは人間が誕生して最初に口にする、最も大切な食べ物です。それを発酵させたものですから、ヨーグルトには非常に素晴らしい力があると考えられています。
[やはりヨーグルトの種類は多いのですか? ]
  牛乳から作られたものだけでなく、水牛や羊、ヤギのミルクから作られたものもあります。もちろん一番食べられているのは牛乳から作られたもので、次が羊のミルクから作られたものです。2種類をミックスしたものもあります。どれも使われている乳酸菌は同じですが、味はそれぞれ違います。それは脂肪やたんぱく質の質や量が違うからでしょうね。羊のミルクから作られたものはとても濃厚で、エネルギーも香りもいっぱいです。ブルガリア人は非常にこれが好きですね。
日本の場合は原料が牛乳だけですから、いろいろな種類のヨーグルトのアンテナショップを作れば面白いかもしれません。
[ブルガリアでは、どれくらいの量のヨーグルトがたべられているのでしょうか? ]
  年間1人あたりのヨーグルト消費量は、ブルガリアでは平均50kg。おそらく2番目がオランダだろうと思いますが、その半分の25kg程度です。日本はわずか7kgですね。一説よると1日500cc食べれば身体に良い影響を与えるといいますが、500ccはすごい量です。1年間にすると150kg以上になってしまいます。
これだけ食べるのはなかなか困難ですが、ヨーグルトを単独で食べるのでなければ可能かもしれません。野菜や果物と混ぜたり、サラダに使ったりするのもいいのではないでしょうか。1日500ccは難しくても、300ccなら簡単に摂れます。
例えば果物とヨーグルトをミクサーにかけてヨーグルトセーキを作るのもいいと思います。バナナヨーグルトセーキなどは、バナナの甘さとヨーグルトの酸っぱさがうまくミックスしてとても美味しくなります。砂糖を入れなくても天然の甘さで食べられる点がいいですね。他は桃ともとてもよく合います。
[サラダに使うというと…?]
  ブルガリアの場合、ヨーグルトとキュウリを使ったサラダをよく作ります。「ドライタラトール」という料理があるのですが、これは非常に食べやすい料理です。水分を取ったヨーグルトにキュウリ、ニンニク、クルミなどを入れ、塩やオリーブオイルを少し加えます。パンやパイに載せて食べると、とても美味しいですよ。トマトを加えてもいいかもしれませんが、トマトは水分が多いので、少し水分をきったほうがいいでしょうね。味は間違いなくいいはずですね。
  他に、ヨーグルトを使った生ソースもよく食べられています。これはいろいろな料理、特にズッキーニやナスの料理に合います。基本的に「ドライタラトール」に似ており、必ずニンニクを入れます。ニンニクを入れるとお腹に非常にいいものになりますね。両方とも天然の薬とも言えるものですから。
[じつに様々な使われ方をしているのですね。 ]
  ブルガリア人にとってのヨーグルトは、日本人にとっての豆腐と同じようなものでしょうね。そのまま食べることもあるし、いろいろな料理の材料にも使われる。他にもパンやパイに入れたり、スープや卵焼きを作るときにも使われたりします。おそらく、そのまま食べる物と料理に使われるものの比率は半々くらいだと思います。また、ブルガリアでは多くの家庭で自家製ヨーグルトを使っています。日本のメーカーはヨーグルトの食べ方、作り方をもっと消費者に啓発してもいいのではないでしょうか。
 
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